この記事では、遺品整理業界の全体像や関連資格について徹底解説します。信頼できる業者選びのポイントや、自分で資格を取得する方法も詳しく紹介します。
遺品整理に関する知識を深め、資格取得や業者選びで失敗しないためのポイントを具体的に紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
- 遺品整理に関係する業界・業種
- 業種ごとに必要な資格
- 遺品整理業に関係がある資格を取得する方法

遺品整理って業界があるみたいなんだけれども、どんな業種でどんな資格があるのかな?

遺品整理業界は比較的最近できた業界です。業種や資格についてお話しますね。
「遺品整理」の業界ってどういう業界で業種や資格ってどうなっているの?と疑問に思っている方もいるのでは…と思い、今回は
「遺品整理」に関係ある業界・業種と資格について
をまとめてみました。
「遺品整理」に関係ある業種には何があり、どんな資格があるのかを知りたい方に読んでいただきたい記事です。
遺品整理に関わる業界や業種の概要、業種ごとに必要な資格を知ることで、信頼できる業者を見極め、安心して依頼できるようになります。また、取得できる資格や認定についても学べます。
遺品整理に関係ある業界
遺品整理に関連する主な業界
「遺品整理」には様々な作業があり、これらをそれぞれの業界に当てはめると以下のようになります。
- 部屋の片づけ … 清掃業
- 特殊清掃、ごみ部屋清掃 … 清掃業
- 生前整理、福祉整理 … サービス業
- 遺品処理、遺品処分 … 一般廃棄物処理業
- 不用品回収、廃品回収、粗大ゴミ引き取り … 再生資源卸売業
- 遺品買取、リサイクルショップへの売却 … 中古品小売業
- 遺品供養 … サービス業
- 引っ越し … 運送業
- 相続書類手続き … 士業
遺品整理に関連する日本標準産業分類は
現行の日本標準産業分類(令和5年[2023年]7月告示(第14回改定)(令和6年4月1日施行))には「遺品整理業」という独立した分類はありません。
ただし、次のようなカテゴリに該当する可能性があります
- 生活関連サービス業、娯楽業
- その他の生活関連サービス業(小分類7999)
- サービス業(他に分類されないもの)
- その他の事業サービス業(小分類9299)
遺品整理は業者ごとにサービス内容が異なり、法令による明確な定義もまだ整っていないのが現状です。
そのため、業者を選ぶ際には「どんな価値を提供してくれるのか?」をよく確認することが重要です。
今後、遺品整理がどのように産業として位置づけられるのか、注目されるテーマです。
遺品整理に関係ある業種
業種の種類
さらにそれぞれの業種を見ていきますと、
- 部屋の片づけ … ハウスクリーニング事業
- 特殊清掃、ごみ部屋清掃 … 特殊清掃事業
- 生前整理、福祉整理 … 遺品整理事業
- 遺品処理、遺品処分 … 廃棄物処理事業
- 不用品回収、廃品回収、粗大ゴミ引き取り … 廃品回収事業
- 遺品買取、リサイクルショップへの売却 … リサイクル事業
- 遺品供養 … 寺院事業
- 引っ越し … 引越事業
- 相続書類手続き … 司法書士事業・行政書士事業・税理士事業
のようになります。現在は①から⑨までの全てを「遺品整理事業」が担っている状況になってきているのです。
これらの業種がどのように連携しているのかを次の章で詳しく見ていきましょう。
業種間の関係性
遺品整理に関わる業種は、それぞれが独立した役割を持つ一方で、相互に連携することでよりスムーズなサービスを提供することが可能です。
たとえば、特殊清掃を担当する業者が廃棄物処理業者と協力することで、清掃後に発生する廃棄物の処理が迅速に行えます。また、遺品買取業者がリサイクル業者と連携すれば、遺品の有効活用や再販の可能性を広げることができます。
さらに、士業(司法書士や行政書士)との連携も重要です。相続手続きや法律的な問題を迅速に解決することで、遺族の負担を軽減するだけでなく、遺品整理全体の効率を高める役割を果たします。
このように、各業種がそれぞれの専門性を活かしつつ連携することで、遺族にとっての利便性や安心感を提供する仕組みが成り立っています。
現在、遺品整理事業は「部屋の片づけ」から「相続書類手続き」まで、幅広い業務を担っています。高齢化社会の進展や単身世帯の増加に伴い、1つの業者が多様な業務を統合的に提供するケースが増えています。これにより、遺品整理業者には専門性だけでなく、柔軟な対応力が求められるようになっています。
遺品整理に関係ある資格
遺品整理で必要とされる資格一覧
各業種に関連する主な資格は以下の通りです。
- 清掃関連
- ハウスクリーニング技能士
- ハウスクリーニング士
- 整理収納アドバイザー / クリンネスト
- 清掃マイスター
- 日本掃除検定
- 特殊清掃関連
- 一般廃棄物収集運搬業
- 古物商許可申請
- 解体工事業
- 臭気判定士
- 事件現場特殊清掃士
- 脱臭マイスター
- 普通免許 / 中型・大型免許
- 廃棄物処理・廃品回収関連
- 一般廃棄物収集運搬業
- 産業廃棄物収集運搬業
- 古物商許可申請
- 家電リサイクル券取扱店舗登録
- その他
- 引越関連:一般自動車貨物運送事業 / 貨物軽自動車運送事業
- 寺院関連:僧侶としての知識や修行経験
- 士業関連:司法書士、行政書士、税理士
これらの資格は、遺品整理の各業種における専門性を示す重要なものです。次のセクションでは、各業種ごとにどのような資格が必要とされ、その資格がどのような役割を果たしているのかを詳しく見ていきます。資格の有無が業者選びのポイントにもなるため、ぜひ参考にしてください。
ハウスクリーニングに関連する資格
“他人の家を清掃する”という仕事の性質上、清掃への知識や技術は求められますが、特に資格がなくても法的には開業が許可されています。
ハウスクリーニング事業に関係する資格は以下になります。
ハウスクリーニング技能士
公益社団法人 全国ハウスクリーニング協会を通して取得できる資格です。
平成24年にできた比較的新しい資格で、ハウスクリーニング業界唯一の国家資格です。厚生労働省指定試験機関の一つなので、公的な安心感があります。
ハウスクリーニング士
NPO法人 日本ハウスクリーニング協会を通して取得できる資格です。
ハウスクリーニング協会は”ハウスクリーニングを通じて地域の福祉に寄与し、認定資格講座及びハウスクリーニングの普及啓蒙活動を行っている団体”とのこと。
住宅の清掃について専門的な知識があることを証明してくれます。
整理収納アドバイザー / クリンネスト
一般社団法人 ハウスキーピング協会を通して取得できる資格です。
生活空間を清潔に保つ掃除のプロであることを証明してくれます。
清掃マイスター
一般社団法人 日本清掃収納協会を通して取得できる資格です。
洗剤や道具の使い方や汚れの取り方が学べ、プロの掃除家として必要な知識と技術が身についていることを証明してくれます。
日本掃除検定
一般社団法人 日本掃除能力検定協会を通して取得できる資格です。
日常生活に役立つ総合的な掃除能力を測り、証明してくれます。
特殊清掃に関連する資格
汚れ・悪臭の除去や害虫駆除は特別な許可や資格がなくても行うことが可能です。ただし、多くのケースでは大量のゴミや不用品、悪臭の染み付いた家具などを引き取らなければなりません。
そのため、以下の資格は会社として事業をするうえでほぼ必須の資格となっています。
一般廃棄物収集運搬業
調べていくと、実はこの資格取得は新規参入が非常に難しく、不用品回収業者の中には許可をとらずに違法に金銭を受け取って処理してる業者がいることがわかりました。
「客からお金をもらって、不用品をゴミとして回収するということは違法」ということです。
そのあたりのことは環境庁の「無許可」の回収業者を利用しないでください!のページが詳しいです。
良心的な業者は正直に取得していないことを告知した上で、各市区町村が許認可を与えている一般廃棄物収集運搬業者に運搬及び処分を委託するとのことなので、そういった業者か、本当に一般廃棄物収集運搬業の許可を得ている業者を選ぶようにしましょう。
古物商許可申請
警視庁から許認可をもらいます。
大量の不用品・リサイクル品等を扱う際に必須の資格です。
解体工事業
令和元年6月からは許認可がほぼ必須になった資格です。
汚れや悪臭を完全に除去するために、建物の一部を解体しなければならないことが多いからです。部屋の解体が必要な場合は、解体許可証を持っている業者を選んだ方がいいでしょう。
以上は特殊清掃会社として取得していなければならない(代わりの対応がなされているべき)資格です。特殊清掃サービスを利用する際は、会社の公式サイトなどでこれらの許可を得ていることを必ず確認してください。無許可の業者に依頼するとトラブルにつながる可能性が高いため、注意しましょう。
次に挙げる資格は「特殊清掃を請け負う人」に関係のある資格です。
臭気判定士
臭気判定士は、臭気測定法による測定を管理・統括する責任者で、臭気の濃さの正しい測定、評価により、環境保全に貢献します。
特殊清掃に関して2021年2月現在、唯一の国家資格でもあります。
事件現場特殊清掃士
事件現場特殊清掃センターを通して取得できる資格です。
事件現場特殊清掃センターは”誰かがやらなければならない、「ありがとう」と言われる仕事”として特殊清掃業界の健全化のために設立されたセンター。
サイトが別なので気づきにくいですが、一般社団法人 遺品整理士認定協会の関連団体がおこなっています。
民間資格ではありますが、2021年現在、唯一の特殊清掃に特化した資格となります。
脱臭マイスター
一般社団法人 日本除菌脱臭サービス協会を通して取得できる資格です。
全国で唯一の脱臭ノウハウに関する資格であり、腐敗臭清掃の為に脱臭マイスターの資格取得する業者が多いようです。
消臭作業において必要となる基礎知識やそれに関連した各種技術に関する技能を持っていることを証明してくれます。
普通免許 or 中型~大型免許
特殊清掃では大量のゴミや不用品を運搬するため、大抵はトラックを使用します。AT限定ではない普通免許か軽トラック~2tトラック(できれば4tトラック)が運転できる免許であれば良く、準中型免許を取得する人が多いようです。
廃棄物処理・廃品回収に関連する資格
一般家庭の不用品回収・遺品処理は特別な許可や資格がなくても行うことが可能です。
しかし「特殊清掃事業」と同様に、大型・中型の家具などを引き取ることも多いため、以下の資格は会社として事業をするうえでほぼ必須の資格となっています。
一般廃棄物収集運搬業
「特殊清掃事業」でも書きましたが、この資格は新規参入が非常に難しいので、きちんと許認可を得ている一般廃棄物収集運搬業者と委託契約をしている業者を選んでください。
産業廃棄物収集運搬業
法人からゴミを回収する際に必須の資格です。
一般廃棄物収集運搬業よりは取得しやすいようです。
古物商許可申請
回収した不用品を売ったり、リサイクル品の買い取りをする際に必須の資格です。
家電リサイクル券取扱店舗登録
家電リサイクル対象商品であるエアコン・冷蔵庫・洗濯機・テレビなどの引取を行うために必須の資格です。
以上が会社として事業をするうえでほぼ必須の資格です。不用品回収事業者向けの資格を探したのですが特に見つかりませんでした。
リサイクル業に関連する資格
リサイクル事業では、中古品を買い取って売る必要があるため古物商の資格が必須です。この資格を持たないリサイクル業者を利用するのは絶対にやめましょう。
引越業に関連する資格
「運送業者」の中で引越を専門に行う業者を「引越業者」又は「引越専門業者」と呼びます。従って必要なのは運送業の許可となります。具体的には、
一般自動車貨物運送事業 or 貨物軽自動車運送事業
このどちらかで申請をおこなうことになります。「一般貨物自動車運送事業」は普通トラックで、国土交通大臣の許可を受ける必要があります。「貨物軽自動車運送事業」は軽車両(軽トラック)で、国土交通大臣に届出する必要があります。
申請手続きは所管の地方運輸支局で可能です。
寺院業に関連する資格
調べてはじめて知りましたが、お坊さん(僧侶)になるのに資格は必要ないようです。
お金をもらって適当にお経を唱えても問題はないという驚きの結果が得られましたが、そうとはいえ通常、僧侶になるためには仏教の宗派に入門することが必須となります。
入門は誰でも許されるわけではなく、一般的には仏教系の大学に進学し、卒業後に仏門に入る儀式を受け、僧侶として認められるまで修行をするという手順をふむ場合がほとんどとなります。
士業に関連する資格
遺品整理では士業のうち「司法書士」「行政書士」「税理士」などが関係あり、それぞれの国家資格を取得していることが必須です。
遺品整理業者が後から資格を取得するというよりも、遺品整理業の会社が士業の資格を有している人物に業務を委託するという形が一般的かと思われます。
遺品整理関連の資格をとる
これまで、遺品整理業者に安心して依頼できるよう、遺品整理に関わる業界や業種の概要や資格について解説してきましたが、自分自身で専門の資格を取得し、より深く理解するのもおすすめです。
資格を取得することで、遺品整理に関する知識を深め、信頼性を高めることができます。以下に、働きながらでも資格が取れる、おすすめの通信講座をご紹介します。
清掃資格が取得できる ー 諒設計アーキテクトラーニング
諒設計アーキテクトラーニングは通信講座で資格を簡単に取得できます!
整理収納に関する専門的な知識を学べる資格で、関連性が深い内容です。
→ 収納マイスターW資格取得講座

清掃技術に関する資格で、業務スキルの証明として活用できます。
→ ハウスクリーニングアドバイザー®W資格取得講座

士業資格が取得できる ー 資格スクエア
資格試験のオンライン講座【資格スクエア】
行政書士は、相続や遺産分割協議書の作成など、士業として遺品整理の一部を補助する重要な資格です。
→ 行政書士講座

相続に特化しており、遺品整理で遺族が抱える法的問題をサポートする能力が養われます。
→ 相続遺言プロフェッショナル講座

女性のための通信講座 ー SARAスクール
【SARAスクールジャパン】
整理収納のプロとして、空間活用や片付けのスキルを証明します。
→ 収納資格取得講座

整理収納に関する専門的な知識を学べる資格で、関連性が深い内容です。
→ 収納資格取得講座

清掃技術に関する資格で、業務スキルの証明として活用できます。
→ 掃除資格取得講座

清掃に関する理論と実践力を兼ね備えた専門家として活躍できます。
→ 掃除資格取得講座

住宅や建築素材に関する幅広い知識を持つスペシャリストです。
→ 住まいアドバイザー資格取得講座

スキマ時間に資格がとれる ー formieフォーミー
formie(フォーミー)は資格のサブスクとして手軽に学べる通信講座です。
整理収納のスキルを高め、空間の有効活用術を学べる資格です。
→ 片付け収納スペシャリスト資格取得講座

終活の計画立案やアドバイスを行うための知識を身につけられる資格です。
→ 終活ライフコーディネーター資格取得講座

清掃のプロとして、効率的で専門的な掃除技術を習得できる資格です。
→ お掃除プロフェッショナル資格取得講座

これらの通信講座を活用することで、遺品整理に関連する知識を深めるだけでなく、新たなスキルを身につけることができます。
忙しい方でも働きながら資格取得が可能なため、自分のペースで学習を進められるのが魅力です。
注意が必要な「資格・認定」の落とし穴
調べていると、特に必要ではない資格や認定なのに華やかな名称なため、”よくわかっていない利用者”を欺く謳い文句として利用していることがあるとわかりました。
公的な資格なら安心かと思いきや、天下り団体のために受験料収入目当てで作ったと噂される資格もちらほらあったので、資格を取る方も利用する方も注意が必要です。
例えば気になった資格を出している協会のリンク先を自分の目で見て、確かめてください。優良事業認定もお金で買えるものが存在するとわかるかと思います。それが良い悪いではなく、その事実を知ったうえでどう判断するか、です。
例えば、資格協会の公式サイトで以下のポイントをチェックしましょう。
- 公的な認定機関のバックグラウンドを知る
- 資格の活用事例や口コミなど利用者の評価を調べる
- 試験や講座の費用が適正かどうか確認する

業界・業種・資格のことをよく知ったうえで無理なく上手に利用しましょう。
まとめ
いかがでしたか?今回は、
「遺品整理」に関係ある業界・業種と資格について
をまとめました。
もちろん正しく使う業者も多く存在するのですが、お金で簡単に買えてしまう資格も存在するので、そこまで資格や認定を信頼しないよう注意しましょう。
気になる資格や業者についてさらに調べてみることで、より良い選択ができるはずです。
資格取得や業者選びの際には、自分の目でしっかり確認し、安心して依頼できる相手を選びましょう。
「遺品整理士」という資格もあります。
遺品整理の基本知識や実務スキルを学べる資格ですので、資格取得が気になる方はあわせてご覧ください。
この記事があなたの「遺品整理」のお役に立てたら嬉しいです。